深夜眠れず、YouTube…90年代英国ポップス界雑感

 たとえば60年代後半のストーンズのように、政治的アジテーションを掲げ、オーディエンスを煽るのが上手いバンドがロックバンドだというコテコテの60年代的ロック観を持つ筆者からすると、90年代の英国のブリットポップ期において、真面目にロックしていたのはブラーくらいかなあ、なんて鼻くそをほじりながら思う。オアシスはロックンロール風味のただのポップスだし。レディオヘッドは次元が違うだろう。彼らは国粋主義者では明らかにないし、というか英国人という自意識を前面に出した表現活動をしていないので、ブリットポップという概念に含むのはおそらく間違ってるし、なにより芸術集団だから、ロックのカテゴリーに入れてはならん。フロイドやクリムゾンと並べて語られるべき啓蒙バンドだ。当たり前だが、世界が(社会が)クソであることを大前提に、客を煽るのか、啓蒙するのか、共感させるのか、否定するのか、などバンドサイドとオーディエンスとの関係性の数だけロックの定義は存在するが、マッシヴアタックは?ポーティスヘッドは?エラスティカは?スウェードは?とか数多いるバンドたちを今の視点で整理しなおすのは面白いね。みんなヤケクソなのがお祭りが最高になる条件だから、ブリットポップは60年代に負けぬほどの最高の祭りだったと思ってる。ああ、まだ聴ける。楽しめる。